【徹底解説】変圧器コアの種類と特徴｜フェライト・ダスト系・飽和磁束密度と電流の関係

はじめに

電力機器や電子機器に欠かせない「変圧器」。その心臓部となるのが コア（鉄心） です。
コアの材質や形状、磁気特性は、変圧器やインダクタの効率・サイズ・耐久性を大きく左右します。

この記事では、

コアの役割
材料ごとの特徴（ケイ素鋼板・アモルファス・フェライト・ダストコア）
飽和磁束密度と電流の関係
を分かりやすく解説します。

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「変圧器コア種類」「フェライトダストコア違い」「飽和磁束密度電流関係」

1. 変圧器コアの役割

磁束を効率的に通す
鉄損（ヒステリシス損・渦電流損）の低減
小型化・高効率化に貢献

空気より透磁率の高い材料を使うことで、一次巻線と二次巻線の結合が向上し、損失を最小化できます。

2. コア材料の種類と特徴

ケイ素鋼板（Si鋼板）

電力用変圧器の定番材質
高い透磁率と1.5～2.0T程度の飽和磁束密度
低周波・大電力用途に最適

アモルファス・ナノ結晶合金

鉄損が少なく、省エネ変圧器に活躍
ナノ結晶は高周波・大電力の両立が可能

フェライト

酸化鉄をベースにNi-ZnやMn-Znを添加したセラミック磁性体
高抵抗率で高周波（数十kHz～数MHz）に強い
飽和磁束密度は低め（0.3～0.5T）

ダストコア（磁性粉末コア）

金属粉末を絶縁バインダーで固めた構造
高Bs（1.0～1.5T）で大電流に有利
種類：
- アイアンパウダー：安価・大電流チョークに最適
- MPP（モリパーマロイ）：低損失・安定特性
- Sendust：安価で電源インダクタ向け
- High Flux：大電流・高エネルギー用途

3. 飽和磁束密度の「高い／低い」で何が変わる？

飽和磁束密度が高い場合

✅ メリット：小型化できる、大電流に強い、突入電流に耐える
❌ デメリット：高周波損失が大きい、設計難易度が上がる

飽和磁束密度が低い場合

✅ メリット：高周波で低損失、インダクタンスが得やすい
❌ デメリット：飽和しやすく、大電流用途に不向き

4. 電流と磁束密度の関係

磁束密度 $B$ は以下で表されます：

$B = \mu \cdot \frac{N \cdot I}{l}$

$N$ ：巻数
$I$ ：電流
$l$ ：磁路長
$\mu$ ：透磁率

つまり、電流が増えるとBも増える → 飽和磁束密度を超えると透磁率が急落し、インダクタンスが低下します。

設計のポイントは、

コア断面を大きくする
巻数を増やす／材質を選ぶ
ことで「飽和しない範囲」に収めることです。

5. まとめ

電力用変圧器 → ケイ素鋼板、アモルファス、ナノ結晶
高周波電源トランス → フェライト
大電流インダクタ／PFCチョーク → ダストコア

コア選びでは、

使用周波数
電流値
飽和磁束密度
をバランスよく考慮することが大切です。

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